ひと夏の片思い
千冬の恋
翌日、必修の授業があるのに千冬は学校に来なかった。
「千冬知らない?」
他の友達に聞いてみた。
「どうせ新しい医者の彼とどっか行ってんでしょ」
みんなは笑った。もう千冬はみんなに自慢しまくっていたらしい。
でも、あれでも千冬の親はめっちゃ厳しい。外泊なんて許さないだろう。私は千冬に電話をかけた。
「はい」
かなり待って千冬が出たが声が低くしゃがれている。
「千冬、今日の授業、出席日数やばいよ。どうしたの?声ガラガラだよ」
「夏樹、山崎くんはやめときな。」千冬が言った。
「え、なんで?」
「昨夜、雅也と泊まったんだ。でも今日何回電話しても出ないの。私逃げられちゃった」
「そんな…」
「私本気だったの。彼氏にも別れ話したんだ。もうアホだよ」
千冬は力なく笑った。
「ひどい」
「類は友を呼ぶって言うでしょ。しょっちゅう山崎くんとナンパしてるらしいし。絶対近づいたらダメよ。」千冬は真面目な声で言った。
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