さくらんぼ
ケーキをつくっていると、自然に時間の流れに、身を委ねられた。
甘いクリームの香りが、鼻を小さくくすぐる。

「ここはもっと細かく混ぜなきゃ!!」
クリームを泡立てている時、谷村さんの言葉が頭をよぎる。
すると、自然に手に力がこめられ、また唇を噛む。

パパとママ、奪わないでよ、私の大事なもの…。
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