君が忘れられない
「教えたくないような、恋だったんだろ?じゃぁ、無理矢理聞かねぇよ」




雅貴。あんたって、本当は優しいんだね。




そう言われると、言いたくなっちゃうんだよ?




「・・・聞きたい?」




「教えてくれんの?」




「公園、よろっか」




そう言って私は、家の近くの公園まで歩いた。




*     *     *




「1年前かな?私が初めて好きになった男と付き合い始めたのは。その頃、丁度誕生日だったんだぁ。彼のね」




私は、あの頃のことを思い出すように、雅貴に言った。




「その人と私は、友達でね。私のただの片思いだったんだ。だけどさ、向こうからいきなり言ってきたの。「お前、俺のこと好きなんだろう?」って。「俺でよかったら、付き合ってあげるよ」ってね。私、馬鹿だからさぁ・・・。その、軽い気持ちっていうのがわからなくってさ。付き合い始めたんだよね」




「・・・うん」




雅貴は、静かに頷いた。
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