Happy days
私は慌てて起き上がった。


そして、辺りを見渡す。


しかし、そこには冥以外誰もいなかった。




「聖は………?
冥、聖はどこっ!?」



「え、ひ、聖…くん?」



「聖、私をかばって………
それで………それで………」




―車にはねられた。




「い、いや………
聖…聖ぃ………」




突然、がくがくと体が震え出した。



聖の血が………


動かなくなった彼の姿が鮮明に蘇ってくる。




「さ、皐月…?」



「いや…いやぁ………」



「ちょっ、ちょっと…
皐月ってば………」



「やだよ…やだよぉ………」




私が、私が………


彼を…聖を………




「皐月、落ちつけ。
あいつなら無事や」




そのとき、私を抱き寄せて誰かが耳元でささやいた。
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