Happy days
「もし皐月さんが同じ境遇にあったら………?



………多分、真弓と同じことを言うだろうな。

そして、俺の息子であるお前は拒んだ挙げ句、結局折れる」




私は胸の前で手をギュッと握った。



何だか見透かさているようだった。



たしかに、私ならそんなことを言いそうだった。




「お前には同じ思いをさせたくない。

こんな………辛い思いはな」




そこで、聖のお父さんの言葉は終わった。



全てを語り終え、少し疲れたのか、短く息をついた。



私と聖はというと、何もできずにいた。




聖のお父さんは、聖が私を守ろうとして危険にさらされる、そう言っていた。



言っていたのに………




真実がこれだとしたら、あれは嘘だったのだろうか。



聖のお母さん………、真弓さんのことはずっと黙っているつもりだったのだろうか。



だとしたら………






…私は、何も言えない。



間違いなく、真弓さんと同じことをするであろう私には何も言えない。
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