ちびねこ物語
その方向からおいしそうな匂いが、漂っ

ている。


「だって、これからきれいに洗う

 んだもんっ。ねっ、ちびすけ。」


茶パツはタオルごと僕を取り出して、

目の高さまで持ち上げた。



「ねぇ、ママいいでしょ、ウチにおいて

 も。食器もトイレも残っているし。」


「はいはい、あなたが面倒見るのよ。

 わかってるわね?」


ジュッ・・・!

というおいしそうな音とともに、さっき

のママから返事が聞こえると、茶パツは

「はぁい、わかってますよぉ」と、小さ

な声で独り言のように呟いた。

パパにはメールを打ったらしい。



「さすが夫婦だね。”好きにしなさいっ

 ”ってママとおんなじ返事が来た。」


ケイタイのメーリを見つめながら、茶パ

ツがにやりと笑った。

パパは、なかなか家にいない人らしい。

メールなら連絡がとりやすいのだとか。



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