ちびねこ物語
あいつには僕が目障りみたいだ。

それなのに、

ちょっとケイタイが光っただけで、あっ

という間に潤んだ瞳に変わるんだ。

メールだって、何が書いてあったって関

係ないみたいだし、”ふたりのために世

界はあるのオーラ”が出まくりだ。


相変わらず、短いメールを二倍三倍に

して返す茶パツ。

茶パツは確かに目の前にいるのに、身体

だけここに残して、心はここにいない茶

パツ。

茶パツの誕生日も近づいてきたから、気

分が盛り上がるのも仕方ないか。



茶パツは久しぶりに僕に話しかける。

「誕生日までに3キロ痩せるんだ。絶対

 に」

ふたりだけの誕生日が、待ち遠しくて仕

方ない。さっきのメールも

”なにか、ほしいものでもある?”

だって。

いつもの態度といつのもメールは、ずい

ぶん雰囲気が違うね。



口紅も買ったし、化粧も雑誌を見て研究

した。苦手だったマスカラも、成功する
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