ちびねこ物語
カシー・・・ カシー カシー

カシカシー ・・・カシー・・・




ダンボールの壁に爪を立てたけど、

壁をつたって流れ落ちる、水の上をかす

めるだけ。

もう少し水を吸って壁がやわらかくなれ

ば・・・・

でも、その頃になると箱の中は、かなり

の水の量になるだろう。



今の僕ら兄弟は、

鳴くか、壁に爪を立てるか・・・の、

どちらかだった。



そのうち、誰かが、誰かの頭の上を踏ん

で、なんとか上によじ登った。

お互いに身体を踏みつけあって、よじ登

って、転げ落ちて。

最後に底に残ったのはブチ。

あいつはあれからどうしただろう。

あそこで、箱の中を振り返るヤツなんて

ひとりもいなかったに違いない。

みんな壁の上から地面へ飛び降り、

再び、鳴いて鳴いて鳴きまくった。










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