ちびねこ物語
「早く乗って!」

パパが車を走らせた。


あの足音はママ。

このぬくもりは茶パツ。

久しぶりに聞く茶パツの鼓動が激しく胸

を打っている。


車から降りて入った建物は、何か、薬品

の匂いか洗剤の匂いか、すっとする匂いが

鼻についた。


僕を抱いた茶パツが僕を運ぶたびに、


ぎゅるるるる・・・・

ぎゅるる・・・ぎゅるる・・・



僕の体の中から、不気味な音が響いた。

鼻や口からも、紅い血が滴り落ちる。


茶パツは僕を何度も見ては、うっ・・・

と泣きたい気持ちをこらえた。


僕は誰かの手によって、あちこち触られ

ところどころの毛をそられた。


細い腕に細い点滴が入る。そして


「こんやがトオゲ」

と誰かが言った。
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