風船

視線に気付いたのか彼が振り向く。

「何?」

「別に」

「何だよ」

彼は不機嫌に言う。

かちんときた。

「消しゴム拾ってもらってお礼も無し?大体あんた無愛想過ぎ!!笑ったら可愛いんだから笑ったら!!」

文句を言ったつもりが最後の方は褒めるような形になっていた。

焦ったあたしは

「別に褒めてないんだから!!早く前向いてよ!!」

と彼に向かって言った。
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