先生、ずっと愛してる。
「うーん…どうしようかな…」




「せっかく作ったんだから渡しなよ」




梨華に背中を押されて、渡す事にした。




「先生…」




「おー、お疲れぇ」




テントには、もう誰もいなかった。遠くに他の先生達がいたけど、気にはならない程の遠さ。




「あの…これ…」




言いかけた時、テーブルの横に、かわいいキティちゃんのフロシキが目に入った。




どう見ても、お弁当だよね。




しかも女の人からの…




それに、ちょっと雑に結んである。




もう…食べちゃったんだね…




だったら、もう私のなんかいらないか…




お弁当を後ろで、ギュッと握り締めた。




「いえ…何でもないです」




今は彼女じゃないから、他の人からお弁当もらってても何にも言えない。




辛いな…やっぱり…




その場にいたくなくて、走り出そうとした時…




遠くに、あの人がいた。




昔、何度も好きだと言った人。




「謙吾…」




『えっ…?』




梨華と先生の声が重なる。




私、先生に期待してたんだ…




『行くな』




その言葉を待ってたんだよ?




なのに…




「行って来いよ」




私は、背中で先生の声を、気持ちを受け止めた。




涙なんか出ない。




ただ足が前に勝手に進むだけ…




久しぶりに会ったのに、あの頃と何も変わってなかった。
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