先生、ずっと愛してる。

親の愛情

「出来ました！！」




みんなで囲むテーブルの上に、今夜の主役のお鍋を乗せる。




「うわっ！うまそう。冷蔵庫の中の残り物とは思えないな」




「智希、こんなに料理上手で、かわいくてすごくいい子なんだから大事にしなきゃダメよ」




「分かってるよ…」




そんなに褒めてもらって光栄です。




私から言わせれば、先生のお父さん…つまり校長先生は年の割には、ダンディーでカッコいいし…




お母さんは…子持ちとは思えないぐらいきれいだし。




この２人の子供が先生だって、よく分かる。




「うん！うまい！！」




先生が親指を立てて、微笑む。




「本当？？よかったぁ…。冷蔵庫の中の物だけで作ったから、有り得ない物とか入っちゃてるんだけど…」




「おいしいよ。高校生で料理上手とは、たいしたもんだな」




「ありがとうございます。私…ずっと１人だったから、嫌でも自分でしないといけないし…自然と覚えました。でも…みんなでお鍋を突っつくのは初めてです…」




あれ…？？




私…どうして…




泣いてるの…？？？




１人には慣れてるはずじゃん。




あっ…そっか。




これって…うれし涙？




気が付いたら、隣に座ってる先生のお母さんに抱きしめられていた。




「彩音ちゃん…辛かったわね。ずっと1人で抱え込んできたのね…でも、これからは何でも言ってちょうだい。彩音ちゃんの親は私達よ」




私は、今までの事を思い出して、声を上げて泣いた。