先生、ずっと愛してる。
きっと先生の仕業。




こんな風に、誰かに卒業を祝ってもらうなんて……いつぶりだろう。




小学校の卒業式の時も、中学校の卒業式の時も、私の隣には誰もいなかった。




周りは、お父さんやお母さんと一緒に校門を下りて行くのに……




私は……1人だった。




それが、どんなに惨めだったか……




家に帰っても誰もいない。




こんな寂しさ……誰にも分からないって思ってた。




先生が、こんなサプライズを用意してくれるなんて……




分かってたのかな?私の気持ち……。




「卒業証書授与」




1人1人、校長先生から証書をもらう。




みんな、どんな気持ちなんだろう…




うれしいのかな?それとも……




「上原彩音」




「はい」




先生が微笑んでくれてる。




私は、いい生徒だったかな?




「おめでとう」




校長先生が、私を真っ直ぐ見て言ってくれた。




「ありがとうございます」




「これからよろしくな」




私も、校長先生を真っ直ぐ見て頷いた。




これから、どんな生活が待ってるんだろう。




先生と結婚できるからって考えは逃げてるだけ。




ちゃんと社会人になりたい。




人より、ゆっくりでもいいから。




そんな事を思えるようになったのも先生のおかげ。
< 250 / 258 >

この作品をシェア

pagetop