先生、ずっと愛してる。
先生のお母さんを見ると泣いていた。




本当の娘じゃないのに…何でそんなに優しいの?




だから、先生も優しいんだ。




『今日から私達が、彩音ちゃんの親よ』




初めて先生のご両親に会った時に言われた言葉。




本当に、そう思っていいのかな?




「卒業生、退場」




ふと、先生を見ると微笑んでいた。




泣いてるかと思った。




きっと、みんなの姿を焼き付けるために 我慢してるんだ。




拍手で見送られながらの退場。




先生のお母さんの横を通り過ぎる時……




「おめでとう」




一生懸命、口パクで言ってくれた。




「ありがとう」




負けじと私も口パクで言った。




先生……




こんなに優しいご両親、一生大切にしなきゃね。




一緒に。




梨華はというと……




それは、それは号泣してて…




抱きかかえてあげないと歩けないぐらいだった。




「あ…や…ね、ぐすっ…まだ…やだ…」




泣きすぎて何て言ってるか理解不能。




きっと誰もが、まだ先生の生徒でいたいんだよ。




私だってそう。




明日から、コソコソしないで堂々としたいとは思うけど…




その思いは心の片隅にほんの少しだけ。
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