おじいさんと泥棒



今度は確実に怒られるか失望されるだろうと思った。

僕は頭を下げたままの体制を保っていた。


おじいさんは何も言わない。


無言でいられるのが一番辛かった。

僕が今にも泣きそうになっていると


「ハハハハハハ」


突然頭上で笑い声が聞こえた。


それは勿論おじいさんのもので僕は何がなんだかわからず頭を上げた。


「君は…本当に正直者だな。」

「はい?」


一体何故笑っていられるのだろう?

だがそんな僕の疑問はすぐに吹っ飛んだ。

「私は知っていた。」

「え?」

「君が何故私の家の中に居たのかを。」

おじいさんは紅茶を口にした。


「何で知ってて通報しなか「君が善人だからだよ。」

おじいさんは僕の言葉を遮ってそう言った。
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