天の川の涙

艶子に支えられながら屋敷に戻った汐羅は、想い人を失った悲しみと、目の前で起こった悲劇に何にも話す事が出来なかった。

過ぎて行く月日は、宏彦がこの世に居ない事を汐羅に痛感させた。

何をするにも、宏彦との事が思い出され、何も手に付かない日々が続いたある日に六代目彦星が誕生したという報告が屋敷に届いた。

｢汐羅様、佐之助(ｻﾉｽｹ)という男が六代目彦星になられたそうです。宏彦様の家臣だった男との事｣

｢佐之助…家臣…｣

言われた事を繰り返し口にした汐羅は、忘れていた事を思い出し、頭の中で考えている事を艶子に伝え二人の密偵が始まった。



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