天の川の涙
――――――――

「汐羅様、おはようございます。本日の稽古は中止でございます」

部屋に入ってくるなり、声色も変えず用件だけを艶子は言い放った。

彼女の事を知らない者が聞けば、何て愛想がないのだろうと思うだろう。

しかし、彼女はこれが普通なのだ。乳母である彼女に育てられた汐羅もまた似たような所がある。

「それで?何か理由があるのでしょう?」

【感づかれそう】

素っ気ない問いに返ってきた答えに納得し、しばらくの間大人しくしていると約束をした。



.
< 6 / 21 >

この作品をシェア

pagetop