あたしの神様
「どうして、あの男をあんたたちは守ってるのよ。
何であの男は、この檻に守られているの!
あたしを守ってくれないくせに!
郁を守ってくれなかったくせに!!」
郁が襲われたとき、何で警察は、郁を守ってくれなかった?
なのに、なんで、郁を殺したあの男を、塀の中で守っているんだ。
何でやつは、糾弾から逃れられる?
郁は死んでなお、マスコミと言う悪意に汚されている。
今もテレビでは、郁のことが流れているんだ。
本当の郁なんて、誰も知らないくせに!
あたしと郁を、こんなにも追いかけるんだ。
「あたしも郁も、見世物じゃない!」
脳みそが、必死に酸欠を訴えていた。
もう嫌だった。
何もかもが、もう嫌になりそうだった。