あたしの神様
あたしは、桐原の顔面に徳井の手紙を投げつけた。
「あんたなんか大嫌い!何で今頃あたしたちの前に現れるのよ!
何で、あたしにかまうのよ!」
「おれも、お前のことが嫌いだって言っただろ?だから、泣かしたい。
唯、それだけだ」
「泣けよ、明」
嫌味なまでに完璧な、桐原の皮肉な笑みが、すぐ近くまで迫ってきていた。
桐原があたしの頬をさわった。
それはどんどんあたしから温度を奪っていく。
男にしては細い、神経質そうな指があたしの顔を撫でて、最後にあたしの目を覆った。
その暗闇は、どこか暖かかった。