あたしの神様

郁美の楽しそうな笑顔は、郁の笑顔に、ほんの少し、似ていた。
でも、郁美は郁美だ。

郁美の席の周りの子どもたちが、うらやましそうな声をあげるのに、あたしは胸が熱くなるのを感じた。



「はい、じゃあ次の人――よし、相原くん読んでくれる?」

教室のざわめきを抑えるように、みどり先生は手を叩く。指名された少年が元気のいい声で作文を読み始めた。



ふと窓を見ると、吹き込んでくる春風が白いカーテンをたなびかせていて、それはあたしの鼻腔をくすぐった。


甘い、郁のにおいがした。

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