あたしの神様

「―――徳井容疑者は、一連の女子大生殺害事件6件の内、5件の犯行を自供していますが、あなたのお姉さんの犯行だけは否認しています。
ただ、我々としましては、犯行に多くの類似点があること、お姉さんの体内から採取された精液と徳井容疑者の血液型が一致していることなどから、お姉さんの犯行にも徳井容疑鞘が絡んでいると見ています」

「そうですか」

「大丈夫です。どうか安心してくださいね」


それでも、あたしは何も感じなかった。
郁を殺していないというのなら、郁は生きているんじゃないだろうか。

火葬も終わり、骨壷に入って帰ってきた、小さな郁の骨は郁とあたしの住んでいた家の窓際にひっそりと置かれている。
お父さんとお母さんの位牌の前に置く気には、ならなかった。

郁が灰と骨になってしまったことも、もうこの世に郁が存在していないことも頭はきっと理解しているんだけど、あたしは理解したくないらしい。
だからあたしは認知できずにいた。


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