君が為に日は昇る
「我々が勝たなければ、全てが無に返る。」


「今もまだ戦っているだろう天ヶ原の同志達の奮闘も。」

「志半ばに散っていった、同志達の無念も。」

「全てが無に返る。」


兵達の肩にのしかかる、覚悟という名の重圧。


「…また民が苦しみ、飢える、死んでいく。」


逃げたしたいなら逃げればいい。それでも構わない。


ここで怖じけづくなら、戦場で真っ先に命を落とす。


「新しい時代はすぐそこまで来ている!」

「守りましょう!大切なものを!変えましょう!腐敗した世の中を!」


声は少しずつ響くを強めた。右腕を高々と掲げ、真田は吠える。


「そして、勝ちましょう。我々には、その力がある。」


体が打ち震える。恐怖はない。躊躇はない。逃げ出す者など一人もいない。


誰もがこの男についてきたことを誇りに思い、喜びに沸き、また感謝した。


兵達は涙し、真田と同様に腕を掲げる。


幕府への、幕狼への感情が、爆発する。


「さぁ、決戦の時です。」


『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!』


四百の魂が、富水の街に響き渡った。


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