君が為に日は昇る
胸が、高鳴る。肌が、粟立つ。


夜太は蒼く光る鞘を強く握りしめた。


━父さん。見ている?貴方の友人は、やはり凄い人だったよ。


この男こそが己にとって師だということをこの時程誇らしく思えること日ないだろう。


この男の存在が、恐怖も躊躇も全て吹き飛ばしてしまった。


皆が、頼もしく、大きく見える。


この大きな星を、何人もの男が慕い、此処に集まったのだ。


「夜太坊。やっぱ俺らの大将はすげぇや。なぁ?」

「そうですね…。」


夜太の肩に手を置く上条。眼にはうっすらと涙が浮かんでいる。


━上条さん。貴方が先生を支えているんだ。

━俺からしたら貴方だって凄いんだ。


そう思いながらも、夜太はそれを伝えることはしなかった。


それを伝えるのは全てが終わった後だと、そう考えたから。


━全てが終わったら伝えよう。


育ててくれた人に。


教えてくれた人に。


守ってくれた人に。


そして愛してくれた人に。


ありがとう。


そう、伝えよう。


さぁ行こう。戦いが始まる。


夜太は、いつの間にか立派な青年に成長していた。


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