君が為に日は昇る
「お前ら…。」


呆気にとられたのは連合の面々だけではない。新海もまた同様である。


元々自尊心の塊のような男達だ。自分がやられたところで降参することはないと思っていた。


「我々は貴方の力に心酔し、その後をついてきた。だがその貴方が負けた。ここが引き際のようです。」

「潔く下り、如何なる刑も受けましょう。」

「…!!」


新海の眼から暖かいものが溢れ落ちる。ただ人を斬る為に、欲望の為に自分の元にいた男達。


こんな感情を抱いていたとは知らなかった。


━この国を戦いの世に。念願は遂に叶わなかったか。

━不運に絡め取られたのは俺。否、これが天命か。


「真田よ。」

「はい。出来うる限りの寛大な処置を。」

「恩にきる…。」


感じ取った、己の死期。敵であるはずの真田に後を託して。


━最後まで見届けよう。共に戦って、共に生きた。


新海の眼から光が消える。それは立ち姿のまま、刀を握り締めたまま。


仲間の姿を、見つめたまま。


立ち往生。新海はその生涯を閉じる。


こうして、長かった戦いが終わる。表舞台の戦いは、終わったのだ。


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