君が為に日は昇る
それは突如として現れる。現れたように見えると言った方が正確だろうか。
上段から背中ごしに刀を移動させることで起こる、まるで刀が消失したかのような錯覚。
頭で仕組みを理解していても対応は後手に回る。それは陸野も例外ではなかった。
下段から顎をめがけ打ち上がる刃。
視界の端から出現した白刃に反応出来ない。意識はまだ上段にあるのか微動だにすらしない。
回避は不可能。確実に身体を断ち切れる。そう思った矢先である。
━違う。これは…!
反応出来ていないのではない。微動だにしないのは、ただ前を見ているから。
それは純粋なる本能。勘ともいうべきそれは瞬時に喜八の前を通り過ぎる。
それは荒れ狂う炎。上段から振り下ろした重厚な刃。金属が砕ける。
━刀が…!だが大振りすぎる!こうなれば脇差しで!
追撃は出来ない。喜八はそう踏んだ。鉄を砕く程の一撃だ。それは弐の太刀を放つには大振り過ぎた。
折れた刀を捨て、喜八が脇差しに手をかけた。
━歳揮ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
その瞬間だった。
豪火は再び、喜八を前を通り過ぎた。
上段から背中ごしに刀を移動させることで起こる、まるで刀が消失したかのような錯覚。
頭で仕組みを理解していても対応は後手に回る。それは陸野も例外ではなかった。
下段から顎をめがけ打ち上がる刃。
視界の端から出現した白刃に反応出来ない。意識はまだ上段にあるのか微動だにすらしない。
回避は不可能。確実に身体を断ち切れる。そう思った矢先である。
━違う。これは…!
反応出来ていないのではない。微動だにしないのは、ただ前を見ているから。
それは純粋なる本能。勘ともいうべきそれは瞬時に喜八の前を通り過ぎる。
それは荒れ狂う炎。上段から振り下ろした重厚な刃。金属が砕ける。
━刀が…!だが大振りすぎる!こうなれば脇差しで!
追撃は出来ない。喜八はそう踏んだ。鉄を砕く程の一撃だ。それは弐の太刀を放つには大振り過ぎた。
折れた刀を捨て、喜八が脇差しに手をかけた。
━歳揮ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!
その瞬間だった。
豪火は再び、喜八を前を通り過ぎた。