君が為に日は昇る
「あんたの…。」


土煙の中、自らの視界の外側から聞こえた声。硬直する身体。


彼はゆっくり、ゆっくりと声の方へと顔を向ける。


『負けだよ。』


そのは瞬間的なことだったかもしれない。それでも陸野の中で、完全に夜太と源五郎の姿は重なった。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


刃を握る右腕を引き、左腕を前に。今まさに片手突きを放たんと構えた立ち姿が。


猛る声が。眼光が。


全てが重なる。


「やはり…。」


━貴様らの方が余程、親子らしい。


そうして陸野を、稲妻は貫いた。


















『君が為に日は昇る』


「全くよ…。」


上条は真田の肩に捕まりながら笑う。


「敵も味方も欺くたぁお前らしいよ。」

「当たり前でしょう。私が斬られた程度で止まる覚悟なら、最初から戦などやるべきではないのです。」


真田もまた笑い返す。


眼前に集い猛る、軍勢を前に笑う。


「さぁ、行きましょうか。歴史が変わる時を見届けましょう。」


「ああ。行こう。」


『夜太』


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