君が為に日は昇る
『七、手紙』
拝啓、お雪様


送られてきた手紙には、最初にこう綴られていた。


それは彼から、愛した男からの手紙。最後の手紙。





お元気ですか。風邪など引いていないでしょうか。

先生に学びながらこの手紙を書いています。貴方の元へ届いているでしょうか。




とても綺麗とは言えない文字。書き直したような後が何度もある。




お雪、俺は今戦地に立っている。


最後の戦だ。この戦が終わればこの国は変わる。俺もお雪の元へ帰る。


だから、もう少しだけ我慢していて欲しい。


俺は最後まで見ていたい。先生や仲間たちが国を変えるところを。


国は変わる。貧しいものにも光が射す日がやってくるんだ。


俺は戦う。己の為に。仲間の為に。知らぬ誰かの為に。そして、君の為に。


どんなに辛い時も、どんなに苦しい時も、楽しい時も、嬉しい時も。


いつも光は必ず射す。





いつの間にか溢れた涙。切なく痛む胸。私は続きを読むことは出来なかった。


これは一年前に届いた手紙。内容など暗記できるほど読んだ。


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