君が為に日は昇る
「もう良い。お前ら。」
長身の男の目配せに、先程まで黙っていた二人の男は瞬時に反応する。
恐らく長身の男の部下であろう。
二人は待ちわびていたとでも言うかのような表情を見せる。
「その餓鬼、斬り捨ててみせろ。」
瞬時に刀を抜き、構える男達。張り詰めていく空気が、再び夜太の警戒を強める。
「俺は幕府直属遊撃隊。幕狼隊の副長、陸野だ。せいぜい俺を楽しませろよ。餓鬼。」
『幕狼隊副長・陸野』
陸野は近くの木に寄りかかりながら邪(よこしま)に笑みを浮かべた。
━強い。
二人の男と対峙しながら彼が最初に感じたのはこれであった。
━でも、あの男程ではない。
二人の男の間に見える陸野に目を向ける。
この二人からは彼が放つような身を震わすようなは感じられなかった。
━だが。
だが彼には。
━俺に。
━再び人を斬ることが出来るのだろうか。
この者達と死合う、理由が見当たらなかった。
彼はいつも誰かの為に戦っていた。
源五郎の為、お雪の為。それを果たすことで自分に存在価値を見出していた。
彼の精神はこの状況にあって、戦うことを拒否していたのだ。
長身の男の目配せに、先程まで黙っていた二人の男は瞬時に反応する。
恐らく長身の男の部下であろう。
二人は待ちわびていたとでも言うかのような表情を見せる。
「その餓鬼、斬り捨ててみせろ。」
瞬時に刀を抜き、構える男達。張り詰めていく空気が、再び夜太の警戒を強める。
「俺は幕府直属遊撃隊。幕狼隊の副長、陸野だ。せいぜい俺を楽しませろよ。餓鬼。」
『幕狼隊副長・陸野』
陸野は近くの木に寄りかかりながら邪(よこしま)に笑みを浮かべた。
━強い。
二人の男と対峙しながら彼が最初に感じたのはこれであった。
━でも、あの男程ではない。
二人の男の間に見える陸野に目を向ける。
この二人からは彼が放つような身を震わすようなは感じられなかった。
━だが。
だが彼には。
━俺に。
━再び人を斬ることが出来るのだろうか。
この者達と死合う、理由が見当たらなかった。
彼はいつも誰かの為に戦っていた。
源五郎の為、お雪の為。それを果たすことで自分に存在価値を見出していた。
彼の精神はこの状況にあって、戦うことを拒否していたのだ。