君が為に日は昇る
たった一撃。陸野が放った一撃が夜太を体ごと吹き飛ばしていた。
純粋な、力。そして圧倒的な、差。
意識を戻した夜太が最初に感じたのはそれだった。
「終わりだな。礼を言おう。なかなか楽しめたぞ、餓鬼。」
膝をつき立ち上がろうとする夜太の目の前に刀の切っ先。そして陸野の姿があった。
死。
その余裕の表情が全てを物語っている。
そして絶望。
━俺は、この男に勝てないのだ。
突きつけられた刀。圧倒的不利な状況。夜太は窮地に追い込まれていた。
「残念だ。もう少し成長してから死合たかったが。」
振り上げられる刀。
「お前のような奴を野放しにしないのも、俺の仕事なんでな。」
白刃が光を照り返す。
「お別れだ。」
ゆっくりと振り下ろされる、刀。
━勝てないならば。
━せめて一太刀。
狙うは相打ち。例え命を失ったとしても道連れに。
━お雪。どうか幸せに。
━お稲婆。長生きしてくれ。
━父よ。…すまない。
音が鳴り響き、そして鳥達が木々から羽ばたいていった。
━君が為に日は登る━
『一、森に隠れ住まう者』━終━
純粋な、力。そして圧倒的な、差。
意識を戻した夜太が最初に感じたのはそれだった。
「終わりだな。礼を言おう。なかなか楽しめたぞ、餓鬼。」
膝をつき立ち上がろうとする夜太の目の前に刀の切っ先。そして陸野の姿があった。
死。
その余裕の表情が全てを物語っている。
そして絶望。
━俺は、この男に勝てないのだ。
突きつけられた刀。圧倒的不利な状況。夜太は窮地に追い込まれていた。
「残念だ。もう少し成長してから死合たかったが。」
振り上げられる刀。
「お前のような奴を野放しにしないのも、俺の仕事なんでな。」
白刃が光を照り返す。
「お別れだ。」
ゆっくりと振り下ろされる、刀。
━勝てないならば。
━せめて一太刀。
狙うは相打ち。例え命を失ったとしても道連れに。
━お雪。どうか幸せに。
━お稲婆。長生きしてくれ。
━父よ。…すまない。
音が鳴り響き、そして鳥達が木々から羽ばたいていった。
━君が為に日は登る━
『一、森に隠れ住まう者』━終━