君が為に日は昇る
陸野と夜太の刃が交差せんとした正にその時であった。


轟音。


落雷にも似た音が辺りに鳴り響く。


と、ほぼ同時に二人の間に位置した木がひび割れ破片が激しく飛散する。


「それぐらいにしておいたらどうですか?」

「真田ぁ…。」


轟音と共に現れた影。真田に対し陸野は目を見開き敵意を剥き出しにする。


━何があったんだ…?


夜太は若干の安堵に包まれながら隙を見て体勢を立て直し陸野から距離をとる。


目の前の二人の間に流れる不穏な空気は因縁めいたものすら感じる。


━敵?それとも…。


夜太は敵味方区別のつかない真田を警戒した。


真田が手に持つそれは未だ煙を吐き耳に音を残す。
恐らくは銃。


外界を知らない夜太にもその危険性は充分な程理解できた。


「せっかく楽しんでたのになぁ。邪魔すんじゃねぇよおい?」


銃などお構い無しと刀を真田に向ける陸野。
対する真田は困ったように笑みを浮かべる。

「こんな若い方の命を奪うのも酷でしょう?ここは退いてもらえませんか?」

「ふざけるなよ。せっかくの上等な玩具、逃がしてたまるかよ。」
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