君が為に日は昇る
「連発も可能なのですよ副長殿。ただ、知らずしてそれを避けますか…。」


━陸野…!


つくづく恐ろしい男だ。真田、そして夜太もまた同じ思いであろう。


瞬間的に反応した陸野はとっさに横に飛び、銃弾から身を反らした。


真田の表情から、笑みが消える。


「最新式か。嫌な物をもってやがる。」

「まだ…退くことは出来ませんか?」

「いや…。」


瞬間、陸野は身を屈める。


屈めた身の僅かに上。そこを夜太の渾身の一撃が斬り裂いていた。


「退こう。」


言葉と裏腹に後方から迫った夜太に裏拳を叩き込む。

彼は鈍い音と共に崩れ落ちるとぴくりとも動かなくなった。


「これをお前に育てさせるのも、悪くない。」


━この餓鬼。真田の殺気に反応したか。

━恐らく無意識にやったんだろうが。今日最高の一太刀。

━成長したら、どれ程の使い手になるか。

「それからでも遅くはないだろう。」


邪に、それでいて純粋に彼は笑う。


そして真田に背中を向けると戦場になっている広場に向け、歩き出す。


「私は斬らなくていいんですか?」

「それじゃあ…面白くならないだろう。」


陸野は不敵に笑っていた。
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