君が為に日は昇る
意識を失ってから一刻程して夜太は目を覚ました。


彼は朦朧とした様子のまま刀を握り、辺りを警戒する素振りを見せた。


が、真田に陸野が去ったことを聞くと力が抜けたようにその場に座り込んだ。


「あんた。反幕府勢力の人間なのか?」

「ええ。一応そうなってますね。あ、私真田虎春と言います以後よろしく。」

「何故俺を助けた?」

「未来ある若人を見捨てられないでしょう?」


次々と質問を投げ掛ける夜太に真田は物腰柔らかく返答する。


彼は真田に敵意無しと見るや、一応は刀を鞘に納めたが直ぐに抜刀できるように警戒することはやめなかった。


「えー。まぁ本当は君を知っているから助けたんですけどね。」

「え…?」

「大体の話。隠れて聞いてましたから。黒間の生き残りなんでしょう?」

「……!!」

「私、貴方がここに来る前からそこの木の上にいたんですよね。」


近くの木を指差す真田。


「まぁそれはそれとして。貴方は夜太…君、ですよね?」


名前を言い当てられ夜太の体が硬直する。この男、何処まで知っているのか。


そして真田が口にしたのは更に夜太を驚愕させる一言だった。

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