君が為に日は昇る
それから二人はお稲婆の家に向かった。


二人は最初さえ真田の姿に戸惑いを見せたものの、彼の説明を受けると納得した様子で旅支度を始めた。


道のりは多少長いものだったが、途中、真田が馬を買うなどして順調な旅路であった。


お雪は真田に見覚えがないようだったがお稲婆とは知り合いのようで、道中互いに懐かしいそうに昔話に花を咲かせていた。





━そして俺はこの街にきた。

━正直、真田先生には感謝している。


彼は夜太らに小さくはあるが立派な屋敷を与え、三人をそこに住まわせた。


皆、始めて見る綺麗な建物に驚きながらも今ではすっかり慣れて楽しく暮らすことが出来ている。


━ありがたいことだ。


隣で団子を頬張る真田をちらりと見る。


驚いた事がもう一つある。この真田虎春が四十代だと言うことだ。


源五郎と旧知の仲というだけあって当たり前のことかもしれない。


しかし見た目の年齢はどうみても二十そこそこ。それを聞いて夜太とお雪は酷く驚いたものだった。


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