君が為に日は昇る
それは以前、二人が稽古をした時であった。
「夜太君。貴方が私を師として仰ぐならば、幾つか守っていただきたいことがあります。」
「…これより、刀を持つことを禁じます。」
真田は自らを師とする条件として夜太に刀の携帯を禁じた。
刀は魂。そんな言葉もある程、刀は侍にとってかかせない物である。
「な、何故ですか?」
夜太が驚いたことは勿論のことである。
それに対し真田はこう語った。
「大義なき剣を振るうならば、それは侍に非ず。」
「貴方が振るう剣がもし浅ましい欲望の為に振るわれるならば。」
「それは只の罪人であり侍ではないのです。」
「剣を振るいそれに後悔を得るならば剣を捨て生きなさい。」
「何が為に剣を振るうか。剣を握るのはまずそれを見つけてからです。」
━何の為に剣を振るうか…。そんなことは決まっているのに。
━何故俺は悩んでいるのか。
━お雪とお稲婆の為じゃないのか。
前を走る真田の背中を見つめながら思う。
夜太の心に潜む影。真田はそれを見抜き、夜太にそれを乗り越えさせんとしていたのだ。
「夜太君。貴方が私を師として仰ぐならば、幾つか守っていただきたいことがあります。」
「…これより、刀を持つことを禁じます。」
真田は自らを師とする条件として夜太に刀の携帯を禁じた。
刀は魂。そんな言葉もある程、刀は侍にとってかかせない物である。
「な、何故ですか?」
夜太が驚いたことは勿論のことである。
それに対し真田はこう語った。
「大義なき剣を振るうならば、それは侍に非ず。」
「貴方が振るう剣がもし浅ましい欲望の為に振るわれるならば。」
「それは只の罪人であり侍ではないのです。」
「剣を振るいそれに後悔を得るならば剣を捨て生きなさい。」
「何が為に剣を振るうか。剣を握るのはまずそれを見つけてからです。」
━何の為に剣を振るうか…。そんなことは決まっているのに。
━何故俺は悩んでいるのか。
━お雪とお稲婆の為じゃないのか。
前を走る真田の背中を見つめながら思う。
夜太の心に潜む影。真田はそれを見抜き、夜太にそれを乗り越えさせんとしていたのだ。