君が為に日は昇る
それは源五郎に受けた教育をしっかりと飲み込んだ一つの形ではある。


子供とは親に褒められることに快感を覚え、そしてその行為を繰り返すもの。


夜太は正にそれなのだ。
人を斬れば源五郎は褒めてくれる。人を斬れば金が手に入りお雪が喜んでくれる。


ただその為だけに


「それ門を打ち破れぇ!」
「おぉぉぉぉ!!」


ただその為だけに


「よし!門が開いたぞ!突っ込め突っ込めぃ!どうせ汚い金だ!奪いつくせぇ!」


夜太は人を斬り続け


「皆殺しにしろ!天誅を下せっ!」


命のやり取りを渇望した。


━もっと二人を喜ばせるんだ。





「また生傷つくって!見せて!今手当してあげるから!」

「あ…」


白い肌に綺麗な瞳。艶やかな黒髪。
顔立ちは父親とは全く似通わない彼女も世話焼きな部分とその明るさは源五郎とそっくりだった。

「大丈夫…」

「大丈夫じゃない!化膿でもしたらどうするの!」

年下でありながら姉のような存在の彼女。
夜太がお雪に思いを寄せていくのは必然だったかもしれない。


━もっと、もっと斬らなきゃ。ずっとこの笑顔を見ていたいから。


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