君が為に日は昇る
それから少しして。
「真田ー!待たないか!こらお稲婆さん!その馬鹿の耳を離してやってくれ!おーい!」
恐らく夕方護衛役を勤める男の声だろう。声は慌てた様子で真田達の後を追い掛けていった。
二人は互いに顔を見合わると、思わず噴き出す。
「もーやだ真田様ったら!酔っ払うとあんな風になるのね?」
「まったく飲みすぎなんだ。昼間の護衛で良かったよ。」
なんだか気が抜けてしまった二人。
もう寝ようかと、互いの部屋に足を進める。
「おやすみ。夜太。」
背中を向けるお雪。
今彼女にその言葉を伝えよう。
「本当の、夫婦になろう」
もしも。夢なら覚めないで欲しい。
彼女がそっと頷いたこの瞬間を。
この華街の片隅で彼女と真に夫婦となれた事を。
一生夜太は忘れないだろう。
この先の運命が、如何に過酷な物であろうとも。
━君が為に日は登る━
『三、華街の片隅』
━終━
「真田ー!待たないか!こらお稲婆さん!その馬鹿の耳を離してやってくれ!おーい!」
恐らく夕方護衛役を勤める男の声だろう。声は慌てた様子で真田達の後を追い掛けていった。
二人は互いに顔を見合わると、思わず噴き出す。
「もーやだ真田様ったら!酔っ払うとあんな風になるのね?」
「まったく飲みすぎなんだ。昼間の護衛で良かったよ。」
なんだか気が抜けてしまった二人。
もう寝ようかと、互いの部屋に足を進める。
「おやすみ。夜太。」
背中を向けるお雪。
今彼女にその言葉を伝えよう。
「本当の、夫婦になろう」
もしも。夢なら覚めないで欲しい。
彼女がそっと頷いたこの瞬間を。
この華街の片隅で彼女と真に夫婦となれた事を。
一生夜太は忘れないだろう。
この先の運命が、如何に過酷な物であろうとも。
━君が為に日は登る━
『三、華街の片隅』
━終━