君が為に日は昇る
「あの子があんたとの約束を破るわけないだろう。今まで一度でもあったかい?」
「ない…。」
お稲婆はお雪の頭を撫でながら、彼女に問いかける。
「あの子は優しい子だ。きっとあんたとの約束を破るなんてあの子には出来ないよ。」
「うん…。」
二人共、夜太を信頼しているのだ。
長い時を供にし、供に暮らしてきた彼を。
自分達に遠慮をしてか起きることも一番早く寝るのは一番遅い。
働くことを嫌がる素振りなど何一つ見せず、毎日汗だくになって仕事に打ち込んでいる。
人生の全てを、自分達の為に捧げている。
「あんたも、あの子も、もっと幸せになっていい子だよ。」
「けれど、あの子はまだ自分が許せないんだろうね。ずっと苦しんでいる。」
お稲婆は夜太が毎晩、うなされているのを知っている。
毎朝彼が黒間の方角に手を合わせているのを知っている。
許せないのだ。黒間を救えなかった。源五郎を救えなかった。沢山の人を斬ってきた。
常に影を抱えて、生きている。
「時間が経てば経つほど、あの子は自分を追い込んでしまうんだ。」
「ない…。」
お稲婆はお雪の頭を撫でながら、彼女に問いかける。
「あの子は優しい子だ。きっとあんたとの約束を破るなんてあの子には出来ないよ。」
「うん…。」
二人共、夜太を信頼しているのだ。
長い時を供にし、供に暮らしてきた彼を。
自分達に遠慮をしてか起きることも一番早く寝るのは一番遅い。
働くことを嫌がる素振りなど何一つ見せず、毎日汗だくになって仕事に打ち込んでいる。
人生の全てを、自分達の為に捧げている。
「あんたも、あの子も、もっと幸せになっていい子だよ。」
「けれど、あの子はまだ自分が許せないんだろうね。ずっと苦しんでいる。」
お稲婆は夜太が毎晩、うなされているのを知っている。
毎朝彼が黒間の方角に手を合わせているのを知っている。
許せないのだ。黒間を救えなかった。源五郎を救えなかった。沢山の人を斬ってきた。
常に影を抱えて、生きている。
「時間が経てば経つほど、あの子は自分を追い込んでしまうんだ。」