君が為に日は昇る
━鋭い。なんて太刀筋。


夜太の眉間から血が流れ落ちる。


「ほぉ。今のはかなり本気だったんだけどな。」


壱の太刀。それはまさに豪剣と言うに他ならないだろう。


実際、夜太の体は上条の木刀に触れていない。


瞬時に軌道を見切り、それは僅かに前髪をかすめる程度だったはず。


その結果がこれである。


剣圧。それが夜太の薄皮を切り裂いていた。


━これが、当たっていたならば。


考えただけで嫌になる。だが。


━これぞ、試練。上条さんはその第一の関門。


だからこそ夜太の心臓は高鳴った。奮い起った。高揚した。


━切り開く。


夜太は大きく息を吐き出す。落ち着けと己に言い聞かせる。


━我が道を！

「寝てんなよ！小僧ぉっ！！」


眼前に迫る木刀。諸手突きが空気を巻き込み唸り声をあげる。


それを夜太は。


いとも簡単に正面から払い流した。


「むっ！？」


上条は体勢を崩し、前のめりによろめいた。


それでも攻勢を止めない。崩れた体勢のまま斜め下から剣を振り上げる。


「うおらぁっ！！」

「はぁっ！！」


それを迎え撃つ夜太。
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