君が為に日は昇る
二人は顔を見合わせると不敵に笑う。


幕狼。変革、倒幕思考の強まる世においても尚、幕府の強さの象徴となる部隊。


屈強な狼が全てを喰らい尽す最強の群れ。


この戦いにおいて奇襲を仕掛けた反幕府勢力の兵は全滅。


幕狼側は僅かな負傷者は出たものの死者無し。


その圧倒的ともいえる力を再度全国に知らしめた。


「終らせぬぞ。侍の世は終らせぬ。時代は戦国に舞い戻るのだ。」


一匹は時代を戦乱の世に引き戻す為。


「さぁ楽しませろ愚かな反逆者。俺を満たせ。」


一匹は快楽を求めて。


真紅の雨降る峠道、狼は次なる獲物を求め、歩き出した。


『其の弐、強襲の狼』終


< 99 / 211 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop