*星空に祈りを*
今でも辛そうなんだから当時はどれだけ翔太が傷付いたか…

そう思った。

「高校に入って離婚してすごくイライラしたんだ。自分の気持ちをどうしたらいいか分からなかったんだ…」


「…!ごめんっ…翔太が辛いのあたし気付いてあげられなかった……」


「…早紀…」

翔太の事を考えれば考える程…早紀は押しつぶされそうな思いでいっぱいだった…

早紀の瞳から抑えきれなかった涙がこぼれ落ちてきた…

こんなにも静かな風が吹いて綺麗な景色なのに…


「翔太が辛い時に…気付いてあげる所かそばに居てあげる事もできなかった…っ」

早紀は一生懸命に溢れ出る涙を自分の手で拭った


「…早紀っ…お前が気にする事はねぇ…!寧ろ俺の方こそお前を傷付けた…っ!」


翔太は辛そうな瞳で早紀に言った。

伸ばされた手は早紀の頬に…

溢れ出る涙をその手が拭った…


「ごめん…早紀…俺お前を傷付けたくなくて…でも俺がお前を傷付けたな…」

翔太の優しさを早紀は今さら気付いた…

「…っ翔太っ…わざとあたしに冷たくした…のっ…?」


「………」

無言の翔太。
それは肯定を意味する…


「ごめんっ…っあたし翔太の優しさにも気付かないで…自分一人が辛いって…ックヒック……裏切られたと…思っ…って…」
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