カラフル・バニー
2人があたしについて、会話してくれてるのは、とてもありがたいことだか、だんだん話が反れて行っているような気がする。


「あんなに無愛想だと、社会から見放されるんじゃないのかい?」

「アイツあんなんでも、結構好かれてるからな。イケんじゃね?」

「ほーう…さすがホモ。よく知ってるな」

「今の会話からなんでそれが出てくんだよ!…あれ…つか浬子は?」


気づけば独りでに足が進み、バンガローの2階へと着いていた。

星は変わらず綺麗で、悩みなんて消えてしまいそうな勢いだった。


「はあー…」


展望台付近のベンチに腰掛け、大きく息を吐く。あたしの中のモヤモヤは未だ消えずに、留まっているだけ。いい加減出てってほしい。


「…何してんだよ。腹痛ーんじゃねーのかよ」


突然、背後から声がした。寝そべっていた自分の体勢を急いで戻す。


「渚!」

「あんな面倒くせー行事、俺1人に押し付けやがって…殺すぞ。てめぇ」

「ごめん…でも、別に好きで抜けたわけじゃないんだよ」


修学旅行のメイン行事とも言える肝試しを、面倒くさいとののしり片付ける渚を、あたしは相変わらずだなと実感した。





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