カラフル・バニー
「落ち着くね。ここ」

「当たりめーだろ」


渚はあたしに何かを差し出した。


「ん」

「これ…」

「1枚余ったから貸す。長袖持ってねーんだろ?」


渚の手には、黒いトレーナー。赤い文字で何か色々書いてある、いかにも『男物』と感じさせるような服だった。


「でけぇかもしれねーけど、文句言うなよ」

「はは、渚の背とあたしの背、5㎝ぐらいしか違わないじゃん」

「『しか』じゃなくて『も』だろーが」

「見栄張るなって!渚、今身長何㎝?」

「マジ黙れ」


あたしの発言に、少し機嫌が悪そうな渚の横顔。

眉間にしわが寄って、いかにも自分の気分が優れないというオーラが滲み出てる。
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