カラフル・バニー
部屋へ着くと同時にベッドへダイブし、枕に突っ伏した。


「あーもう…分けわかんねーよぉ…なんなんだ、今日は」


足を乱暴にベッドに叩きつけ叫ぶあたし。そんな声とは裏腹な静かな音が聞こえる。

ノックの音だ。


「はぁい。いいですよぉ」

「浬子か?私だ。入るぞ」


さっちゃんとは、久しぶりに会ったような感覚になる。たった何時間か会わなかっただけなのに。


「今日は一段と疲れました。やっぱり、渚君はおかしいです」

「小学生の感想文か」

「違うよ。…はぁー。急にあのカフェ特製のジュースが、飲みたくなってきた」

「うさちゃんのことかい?飽きないねぇ、アンタも」


さっちゃんの言葉の後、あたしはおもむろに自分のバックの中に手を突っ込んだ。そして、あのオレンジ色のうさぎを取り出す。
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