カラフル・バニー
「渚は素直じゃないんだよ。お前も分かるだろう?」

「確かに素直じゃないね。アイツ絶対、栄の事好きだよ。超挙動不審だったくせに、強がってたし」

「他人じゃなくてお前に対する態度はどうなんだよ」

「別に…普通極まりないんだけど。渚はやっぱりあたしなんか好きじゃないよ。押し倒されたのだって、あの言葉だって、バランスが崩れただけでしょ」


淡々と話すあたしに、息を呑むさっちゃん。少しの間が空く。


「単にお前は、ヤキモチを妬いてるだけだろう?」

「違うよ」

「違わない。…ったくお前も頑固な奴だな」

「栄は、あたしの知らない渚を、沢山知ってる」


本音を言えば、少し辛かった。ヤキモチを妬いているのも、自分で分かる。

でも認めたくなかった。


「馬鹿だな。お前は」


また涙が出る。さっちゃんに言われた言葉が図星のせいか、悔しくて、悲しくて、止め処なく溢れ出した。


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