カラフル・バニー
長い時間あたし達は喋っていたが、もうすぐ朝食の時間だということに気づく。

 
「そろそろ出ようか」


あたしはドアノブをひねり、外へ向かう。そして朝1番の清々しい空気を思い切り吸った。


「渚君、おはよっ」


甘ったるい上野さんの声が響いた。いつにも増して、甲高い。


「…きめぇ」

「ひどいなぁ。あ…!ねえ、渚君のお兄ちゃんと私のお姉ちゃんって結婚するんでしょ?」

「別に…どうでもいい。そんなの」

「超幸せそうだった、私のお姉ちゃん」

「そんなこと俺に言って、何か利益あんのかよ」


距離があったのでよく聞こえなかった。

ただ『渚のおにいちゃん』その言葉だけが、やけにはっきりと聞こえた。
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