カラフル・バニー
「こちらフゼア系を中心とした、メンズ向きの落ち着いた香調となっております」

「…はあ…」

「…お気に召されませんでしたか?」

「あ…いえ。ただ、あたしの探している匂いとは違うなって…」


あたしがそう言うと、気の良い店員さんは爽やかさをメインとした香水を、片っ端から持ってきてくれた。


「…これだ」


いくつか匂いを嗅がせてもらい、やっとのことで見つけたあの香水。あたしはそれを購入し、店を出た。


「どーこ行ってたんだ?」


突如声がすると思えば、目の前には仁王立ちするイチ。その後ろにいるさっちゃんは、暇そうに背中をかいていた。


「お前は、ちっちぇ頃から常にうろちょろしてたよな。心配かけさせんな。ボケが」

「そうだぞ、浬子。いくら人間じゃないとは言え、つるっぱげだって心配すんだぞ」

「ごめんなさい」


さっちゃんの発言にイチはしばらく機嫌が悪かったが、他愛ない会話がそれを消すかのように盛り上げた。


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