カラフル・バニー
渚はあたしがいた免税店の隣の店の奥で、うつ向き気味に何かを見ていた。


「なーぎさ、何見てんの?」

「…ってぇ、てめ…っ」


渚の背中を思いっきり叩く。当然、渚の機嫌は悪くなった。相変わらず目付きがきつい。


「そんな睨まなくたっていいじゃん。あたしだって、悪気があってやったわけじゃないしさぁ。んで?何見てんの?」

「何も見てねーよ」

「まあまあ、渚も浬子もこんなとこに来てまで、喧嘩してんじゃねーよ。そろそろ時間だし、バンガローに帰ろうぜ」

「別に…喧嘩してるわけじゃないし」

「うるせーのは、コイツだけだしな」


イチは呆れ、ふっとため息をつく。


「お前らは、仲いいのか悪ぃのかさっぱり分かんねーな…」

「つるっぱげ、浬子に妬いてるのか?」

「だから!なんでそうなるんだよ!行くぞ、渚。女なんか訳分かんねーよなっ」

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