カラフル・バニー
グチグチとしつこく渚に突っかかっているうちに、やがて日が暮れてきた。


「おーい行くぞー!」


イチが声を張り上げ、あたし達2人を呼ぶ。渚は小さく舌打ちをし、小石を蹴った。


「あ、浬子ちょっと…」


手を上下に振るイチ。あたしは駆け足で傍に寄る。そしてイチはあたしに耳打ちをした。


「来週、渚の誕生日なんだよ。怪しまれないよう早智子も呼んで、皆で祝ってやろーぜ。だからさ浬子プレゼントでも用意しとけよ」

「ははっそれ、さっちゃんの役回りひどくない?」

「ひでーよ。でも、俺がいつもアイツにされてることはもっとひでーよ」

「ふ…ははそうだね」


あたしはイチのもっともな言葉に吹き出してしまった。


「さ、そろそろ渚の機嫌も悪くなる頃だし、行くか」

「何それ。渚はあたしには妬かないでしょ」

「バーカ、違ぇよ。渚が俺に妬くんだよ」

「?」


イチが意味不明なことを発している内にバンガローに着く。あたし達は夕暮れの中バスに揺られ、2日振りの自宅へと帰ったのだ。
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