カラフル・バニー
部屋に戻ったあたしは鞄から、オレンジのうさぎを取り出し、うさぎのお腹を押しながら眺めていた。


「明後日…かあ…」


ベッドに寝転ぶとあたしの中の溜まっていた疲れが、どっと噴出し、いつの間にか眠ってしまった。


「浬子ー!早智子ちゃんが遊びに来てくれたわよーっ玄関で、待ってくれてるから、さっさと着替えて早く出なさい」

「はぁい」


今日は、いよいよ渚の誕生会をする日。緊張が走る重い足取りで、さっちゃんの待つ厳寒へと向かうあたし。

 
「大分待っていたぞ」


さっちゃんの嫌味たっぷりなその発言が、何故かとても安堵した。


「イチの家、行こっか」


歩き出したあたしを、笑顔で見守るさっちゃん。コンクリートをしっかり踏みつけ、1歩1歩着実に、確実に。
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