カラフル・バニー
あたしは大きく息を吸った。少しでも、目を真っ直ぐ見れるように…


「あたし渚が好き」

「…え」

「それだけ。それだけが言いたかったの」


あたしはその場に立った。そしてすぐに去ろうとする。

その瞬間、あたしはグッと腕を引っ張られ、渚の前に座らされる。


「何、人の返事潰してんだよ」

「だってさ…」


駄目だ。泣きそう。

声が震えて目の前にいる渚が見れない。


「俺も。お前が好きだ」

「…っ…うん…」


やっと出た言葉。我慢してこらえて、好きだという気持ちが溢れ出しそうで…


「あたしも渚が好き」


涙を掬ってくれた渚の手は、とても暖かくて心がほっとした。



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